歯間ブラシ・デンタルフロスの役割と正しい使い方
歯と歯の間にアプローチするアイテムには、フロスと歯間ブラシがあります。
歯ブラシで磨くだけだと、どうしても歯の隙間に磨き残しが起きてしまいます。
どちらか一方を使えば良いということではなく、歯の隙間に合わせて使い分けることが大切です。
歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間もしっかり磨きましょう。
フロスは細い繊維を糸状にしたもので、狭い隙間に適しています。
歯並びを見たときに歯と歯の間にそれほど隙間がないように見えるなら、フロスを使うと良いでしょう。
子どもから大人まで使えるアイテムです。
歯間ブラシは、歯と歯の隙間が広い部位を清掃するのに適しています。
また、ブリッジをしている人も歯間ブラシで磨くとプラークを除去しやすいです。
人によっては「フロスだけで十分」と思うかもしれませんが、
歯の隙間が広かったり、ブリッジをしたりしている人はフロスに加えて歯間ブラシも使用しましょう。
歯間ブラシの選び方、2つのポイント
歯と歯の隙間は、個人差があります。
また、歯周病が進行しているケースでは、歯と歯の隙間は大きくなります。
歯間ブラシは複数のサイズ(太さ)がありますから、自分に適したサイズのものを選ぶことが大切です。
1) 無理なく挿入できるサイズのものを選ぶ
無理に歯間ブラシを挿入しては、歯や歯肉に負担をかけてしまいます。
スムーズに挿入できるサイズを選ぶことが大切です。
歯間ブラシは5種類程度のサイズに分かれているので、自分の歯の隙間に合った
サイズを選びが必要でしょう。
「どのサイズを選んで良いのかわからない」という人は、 少し小さめ(細い)のサイズを選ぶと良いでしょう。
力を入れなければ動かしにくかったり、
なかなか歯間ブラシを入れられなかったりするのは、サイズが大きい(太い)可能性があります。
■ 正しい使い方を身に付けることも大切
歯間ブラシのサイズが合っていても、挿入角度によっては
歯肉や歯に負担をかけてしまう場合があります。
適切なサイズ選びだけでなく、正しく使用することも必要になります。
2) 使う箇所に合ったタイプのものを選ぶ
歯間ブラシには、ストレートタイプとL字型タイプがあり、
使う箇所によって適したタイプが異なります。
ストレートタイプは前歯に適していて、L字型は奥歯に適しています。
また、ストレートタイプは曲げて使用することも可能です。
歯間ブラシも歯と歯の間を清掃することができるグッズです。
小さなブラシの形状をしており、
大抵は超極細タイプのSSSから普通タイプのMまで4段階のサイズに分けられています。
サイズ | ブラシ通過径(mm) | 適した部位 |
---|---|---|
SSS | ~0.8 | 隙間が最も狭い部位 |
SS | 0.8~1.0 | 狭いものの、SSSだと緩い部位 |
S | 1.0~1.2 | 少し広めの隙間。歯茎が下がっている部位など |
M | 1.2~1.5 | やや広めの隙間 |
このように隙間の広さによって適したサイズが異なるため、自分に合ったものを選びましょう。
また、歯間ブラシにはI字型とL字型があります。前歯の隙間にはI字型、奥歯の清掃にはL字型がおすすめです。
歯間ブラシの正しい使い方
歯と歯の隙間にブラシを入れ、やさしく前後に動かします(数回往復させます)。
上の歯に使用する場合は、歯肉を傷つけないように下向きに挿入し、
下の歯に使用する場合は上向きに 挿入すると良いでしょう。
歯間ブラシの持ち方は、鉛筆を持つときと同じようにして、力を入れすぎないようにすることも大切です。
歯間ブラシを使った後は、よくうがいをしましょう。
■ 歯間ブラシの使用頻度
歯間ブラシを使う頻度は、正しい使い方ができていれば毎日でも良いです。
もちろん、1日3回のブラッシング全てに歯間ブラシを使用する必要はありません。
朝・昼のブラッシングは、時間を十分に取れない人も多いと思います。
比較的ブラッシングに時間をかけられる、夜の歯磨きでの使用がおすすめです。
■ 歯間ブラシの交換時期
歯間ブラシの交換時期は、使い方・消耗の仕方によって異なると言えますが、 ワイヤーや毛先の痛み具合をみて交換する必要があります。
また、使用後は流水で洗い、よく乾燥させるなど、歯間ブラシを清潔に保つことも必要でしょう。
デンタルフロスの選び方
歯と歯の間を清掃することができるグッズです。
糸状になっていて、ブラシが入らないくらいの歯と歯の狭い隙間に滑らすようにして入れて使うことで、
プラーク(歯垢)や食べかすなどを除去できます。
フロスを正しく使えないと、フロスによるプラーク除去効果が限られてしまいます。
特にロールタイプのフロスは使い方にコツがいるので、使用する場所別に使い方を覚えておくことをおすすめします。
種類で選ぶ
スーパーやドラッグストアのフロスコーナーには数多くのアイテムがあるため、
どれを選んだら良いのか迷う方もいるのではないでしょうか。
いろんなフロスがありますが、ポイントを押さえれば簡単に自分に合ったフロスを選ぶことができます。
押さえておくべきなのは、フロスの種類と素材です。
数多くあるように思えるかもしれませんが、フロスは「ホルダータイプ」と「ロールタイプ」の2種類だけです。
この2つの違いを知っておけば、自分に合ったフロスを簡単に選べます。
■ ホルダータイプ
ホルダー(持ち手)にフロスが付いているため、コツが要らず誰でも簡単に使えるのが特徴です。
初心者や子どもでも簡単に使えるタイプのフロスといえます。
ホルダータイプには「F字型」と「Y字型」があります。
F字型は前歯に使いやすく、Y字型は前歯にも奥歯に使いやすいのが特徴です。
ホルダーが付いていないロールタイプのフロスだと、奥歯の清掃には指を口の奥まで入れる必要がありますが、
ホルダータイプだとその必要がありません。
■ ロールタイプ
フロスのみでホルダーがないため、必要な長さに切って使用します。
フロスの両端を両手の指に巻き付けて使用するので、
フロスを切るときは指に巻き付ける分の長さも確保して切らなければなりません。
ホルダータイプと比べて扱いが難しいですが、慣れるとそんなに不便は感じません。
ホルダーがない分、コスパが良いのもメリットです。
素材で選ぶ
フロスの素材は、ワックス加工されているものと、そうでないものがあります。
どちらが良いとは一概にはいえず、それぞれにメリットとデメリットがあるので、
両方を比較して自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
■ ワックスタイプ
ワックスタイプは、フロスをワックスでコーティングしているため滑りやすく、
狭い歯と歯の間にも入り込みやすいのがメリットです。
歯と歯が重なりあっている部分にもスルッと入るため、ノンワックスタイプでは引っかかるような部分でも使えます。
また、フロスが切れにくいため、フロスに慣れていない方でも扱いやすいのがメリットといえるでしょう。
■ ノンワックスタイプ
ノンワックスタイプは、フロスをワックスで固めていないタイプのものです。
ワックスで固めていない分、繊維が広がりやすく歯の隙間にフィットして汚れを落としやすいのがメリットといえます。
ただし、滑りが良くなく、引っかかって切れやすいのがデメリットです。
高いプラーク除去効果を求めるならノンワックスタイプ、歯の隙間が狭い方や扱いやすさで選ぶならワックスタイプがおすすめです。
ロールタイプの正しい使い方
ロールタイプのフロスは切って指に巻いて使います。基本の持ち方は以下のとおりです。
1. フロスは40cmくらいの長さに切ります。
2. 切ったフロスを両手の中指に2~3回巻きます。利き手と逆の手には多めに巻き付けましょう。
3. フロスをピンと張って、両中指の間隔が10~15cmくらいの長さにします。
4. 両手の親指と人差し指でフロスをつまみ、1~2cmの間隔を保ちながら動かします。
上記が基本の持ち方です。
以降は、歯の箇所によって適した使い方をそれぞれ紹介するので、基本の持ち方を実践しながら覚えていきましょう。
■ 上の前歯
上の前歯は、片方の手の親指と、もう一方の手の人差し指で上向きにフロスを押さえて使用します。
フロスを歯の隙間に入れるため、片方の手の指は歯の内側に、
もう一方は歯の外側になるようにしてフロスを前後にスライドさせながら、ゆっくりと入れていきましょう。
フロスはピンと張った状態をキープし、左右の歯の側面を沿って上下に数回動かします。
両サイドを清掃したら、フロスをゆっくりと引き抜きます。
同じ方法で上の前歯すべての歯の間を清掃していきますが、
使用した部分のフロスをずらして新しい部分を使用しましょう。
■ 上の奥歯
上の奥歯は、前歯を磨くときとは持ち方を変えます。両手の人差し指を使って上向きにフロスを押さえましょう。
清掃方法は上の前歯と同様に、フロスを前後にスライドさせながらゆっくりと入れ、
歯の側面に沿って上下に数回動かします。
両方の歯の側面を清掃したらフロスをゆっくりと引き抜いて、別の歯をフロスの新しい部分を使って清掃していきましょう。
■ 下の歯
下の歯は、前歯も奥歯も同じ持ち方です。
両手の人差し指を使って下向きにフロスを押さえて、上の前歯・奥歯と同じように清掃していきましょう。
いずれも、歯肉炎がある部位は出血しやすいため、
出血したからといって使用方法が間違っているわけではありません。
プラーク除去をして歯肉の炎症が解消されると、出血はおさまります。
ただし、歯肉の炎症が治まることで隙間が広くなることもあります。
フロスは、少なくとも1日1回の頻度で使用すると良いでしょう。